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【よく出る!】ワインと霜が与える影響と対策について

2021年4月13日

フランス各地で4月5日から8日にかけて霜が発生し、現在も深刻な被害をもたらしています。
3-4月は、新芽が出てこれから葉とともに成長するぶどうにとって、非常に重要な時期。
今回は霜による影響と、その対応策について解説します。

2021年はフランス全土で大きな霜の被害に

3-4月の霜害は、ぶどうの樹の生育に非常に大きな影響を与えます。3−4月というと、平均気温が10度を超えてくる時期。ぶどうの樹は休眠を経て萌芽し始めます。今年のフランスの気候は、例えばブルゴーニュでは3月に気温が23-25度と非常に暖かかくなりました。そのため、ぶどうの樹の生育が例年よりも早く進んだのです。
しかし、4月5日から8日にかけて、フランス全土で気温が大きく下がりました。特にブルゴーニュとシャンパーニュ地方では気温が-7度まで下がったと伝えられています。また、比較的暖かいローヌ北部の一部では既に展葉が始まっていたため、今回の霜により100%被害が出ているところもあるそうです。

霜によりぶどうの芽はどうなる?

ではなぜ生産者はここまで霜を懸念するのでしょうか。それは霜によってぶどう品質や収穫量に大きな影響を及ぼすからです。
霜が発生し、芽に影響が出ると、芽が落ちてしまったり、焼けてしまったり、芽の器官が破壊され、枝が伸びなくなってしまいます。それによって樹を植え替えなければいけない場合もあるため、深刻な被害となります。

霜害の対応策

ではどのように霜害対策をすれば良いのでしょうか。
以下5つが霜対策として実施される方法です。

スプリンクラー

スプリンクラーは、ぶどうの樹に散水する方法です。水が氷に変わることで熱が生まれます、これにより芽と新梢が守られます。シャブリではスプリンクラーによる散水が行われたとのこと。ただし、常に水を供給して、凍結の現象が続くようにしなければならないので、大量の水を必要とします。

送風機

送風機は、上から暖かい空気を取り込み、地面の温度を氷点以上に保つ働きをします。今回一部の生産者は、ヘリコプターを使ってぶどう畑の上空を飛行し、暖かい空気を循環させることで霜を防ぐ方法を取っています。ルイ・ロデレールがアヴィーズの畑に設置した送風機の映像がこちら

ヒーター

霜害の予報が出たタイミングで点火する方法です。ヒーターにより冷たい空気が一箇所にとどまることを防ぎます。

ロウソク

今回多くの地域で見られたのが、ロウソクによって畑を温める手法です。今回のように広範囲で長い時間氷点下が下がると、大量のロウソクと人件コストが必要となります。下記はボルドーで撮影された風景。

https://twitter.com/Masterofwhine/status/1379901719119851528

剪定時期を遅くする

これは、剪定の時期を遅らせて、遅霜の時期に発芽が重ならないようにする方法です。今回は3月に萌芽し始めたこともあり、多くの芽がダメージを受けました。このような被害を最小限に抑えるために、生産者は剪定時期を遅らせる、または萌芽の遅い品種を増やす等の取り組みを行なっています。

2021年ヴィンテージは例年より高くなるかもしれませんね。被害がこれ以上拡大しないことを祈ります。
ご参考:Save our wine! Big freeze spells disaster for French vineyards

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