【初心者でも分かるワインの作り方】人気のオレンジ・ロゼワインについても解説!

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ワインを学ぶ上で欠かせないのがワインの作り方。

スティルワインと言われる白ワインや赤ワインと、スパークリングワインとでは作り方が異なりますし、辛口スタイルや甘口スタイルによっても作り方が異なるんです。

この記事で分かること

  • ぶどうの樹のライフサイクル
  • 白・赤・スパークリングワインに加えて、今人気のオレンジワインやロゼワインの基本的な作り方をご紹介
  • ワインの作り方を学ぶとどんなメリットがあるのか解説
  • ワイン初級者はもちろん、中級者の方にもより学びが深まる内容を盛り込みました!

作り方による味わいの違いなども解説しているので参考にしてみてくださいね!

目次

そもそもなぜワインの作り方を学ぶの?知ると得する3つのメリット

ワインを日々飲む上で、ワインの作り方を学ぶことは正直あまり重要ではないですよね。

でも、ワインの作り方を知っていると、なぜこのような味わいになるのか、この価格なのかといったワインの裏側が分かるのです!

ここではワインの作り方を知っておくと得られるメリットを3つご紹介します。

メリット①:ボトルからワインの作り方が想像できる

例えば、同じボルドーでも値段が全く違う。こっちは数千円なのに、このワインは1万円以上もする。

なんて思ったことはありませんか?

格付けやマーケティングなど色々な要素はあるものの、安いワインの場合は、すぐ消費者が飲みやすいように熟成期間を短くしているかもしれません。

メリット②:味わいからワインの作り方が想像できる

また、同じ品種なのに、このワインからは皮やトリュフ、トーストのようなアロマも感じられるけど、このワインはそういったアロマは分からないし、果実感主体に感じる・・・

前者の場合は熟成期間も長く、樽を使って熟成している可能性があります。

メリット③:ワイン選びやワインを飲むのが楽しくなる

ワインの作り方を知らなくても正直ワインは楽しめると思います。

でも知っていることで、ワインがどうしてこのような味わいになるのか、自分はどんなスタイルのワインが好きなのかが分かるようになり、より楽しさを感じることができます。

ワイン作りに欠かせないぶどうの生育

素晴らしいワインは品質の高いぶどうから作られます。

ぶどう樹の成長サイクルを見てみましょう。

冬の剪定(12-3月)

昨年に伸びた古い枝を切り落とし、最良のツルだけを残して新しい枝を育てます。

萌芽(3-4月)

芽が膨らんできます。

ぶどうの品種にもよりますが、日中の気温が10℃を超えると萌芽すると言われています。

注意しなければならないのはこの時期発生する春霜です。

これによりぶどうの皮が傷ついたり、新梢が死んでしまうこともあり、ぶどうの品質や収穫量に大きく影響します。

開花と結実(5-6月)

生き残った芽は葉を茂らせ、花をつけます。

開花には暖かい気温と十分な日照量、水が必要です。

全ての花が実になるわけではなく、結実後に受粉しなかったり、種子を持たない実の場合は小さいままになってしまいます。

ヴェレゾンと果実の成熟(7-9月)

結実後、ぶどうの実は6-8週間かけて成長します。

ぶどうの房は晩夏まで緑色をしていますが、色が赤色に近づくことをヴェレゾン(色づき)と言います。

ヴェレゾンから収穫期にかけて、果実は膨らみ水分でいっぱいになります。

この期間にぶどうの糖度が上がり、酸度は下がります。また、色素と風味の増加やタンニンが発生するのもこの時期です。

収穫(9-11月)

ぶどうを収穫する理想的な環境は乾燥していること。

収穫期に雨が多いとぶどうが腐ってしまったり、果実が膨らんで果汁が薄くなるといった原因になります。

大量生産のワインは機械で収穫することが多いですが、高価なワインや傾斜のあるワイン畑、小さい生産者などは手摘みで収穫します。

ぶどう樹の生育を詳しく学ぶなら→ブドウ樹の生理と剪定方法 病気を防ぐ樹体管理

白ワインの作り方

まずは白ワインの作り方から見ていきましょう。白ぶどうの代表品種にはシャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、リースリングなどがあります。

赤ワインと白ワインの基本的な作り方の流れはほぼ同じです。

ぶどうの収穫

9月下旬から11月初旬にかけてぶどうを収穫します。

機械化している生産者も多いですが、高級ワインや、ワイナリーが急勾配のところで機械化が難しい場所、貴腐ぶどうなどは手摘みで収穫します。

こちらはドメーヌ・タカヒコでぶどう収穫をしている時の様子。一房ずつ状態を見て丁寧に収穫しました!

また、ぶどうの房全体を丸ごと必要とする場合も手摘み収穫です。

手摘みは機械収穫に比べて時間も人件費もかかるため、安いワインではほとんどが機械収穫です。でも手摘みだと一房一房ぶどうの状態を見て収穫ができるので、小さな生産者だとあえて手摘みをしているワイナリーもあります。

破砕・圧搾

収穫したぶどうの果皮を破砕してから果実を圧搾して、果汁を抽出します。

白ワインの場合は酸化のリスクを減らすために、ぶどう果汁と果皮や種子を早めに分離します。

アロマティックな白ぶどう品種の場合は、風味を強めるために果汁と果皮を接触させる生産者もいますが、数時間程度のみ行われることが多いです。

アルコール発酵

アルコール発酵とは、酵母の働きによって糖分がアルコールと二酸化炭素に変換することです。

アルコール発酵は5℃未満の温度では始まらず、糖分を全て使い切るまで自然発酵が続きます。

発酵中のワインは温度が高くなりすぎると、酵母が死んでしまうため、温度管理が重要です。

白ワインの場合は繊細な果実のアロマを損なわないように、約12-22℃と赤ワインよりも低めの温度で発酵が行われます。

発酵は温度管理が容易で洗いやすいステンレスタンクが使われることが多いです(生産者によってはコンクリート製や木製の発酵樽を使うことも)。

通常発酵は2〜4週間かかります。

マロラクティック発酵(MLF)

液体部分(フリーランワイン)を分離します。

マロラクティック発酵とは、ワインに含まれるリンゴ酸を乳酸菌の働きにより乳酸に変えること。これにより、酸味がまろやかになるだけでなく、バターのような風味をもたらします。

白ワインの場合は、生産者が作るスタイルによってマロラクティック発酵を行うかどうかを判断します。

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熟成

発酵後、ワインは数ヶ月から数年間熟成されます。

熟成はどんな味わいのワインにするかによって、オーク樽にするのか、はたまたステンレスタンクを使用するのか変わってきます。

安くて早飲みタイプのワインにはステンレスタンクが使われることが多く、熟成年数の高いワインのほとんどは木樽熟成されます。

アロマティックな香りが特徴のワインも、樽などで熟成すると緩やかでも酸化してアロマティックな風味が失われてしまう可能性があるため、ステンレスタンクで熟成させるケースが多いです。

清澄化

マスト(果汁)を静置して後に、不純物や固形物を沈殿させます。

瓶詰め

熟成後、再度ワインの不純物を取り除き、瓶詰めされて市場に出荷されます。

1分で分かる白ワインの作り方

赤ワインの作り方

続いて赤ワインの作り方を見ていきましょう。

赤ワインに使われる黒ぶどうの代表品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワールなどがあります。

白ワインの工程と違うのは醸しの有無です。赤ワイン作りにの鍵となるのがぶどうの果皮からタンニンと色素をうまく抽出すること。そのためこのステップは赤ワインを作る上で非常に重要になります。

ぶどうの収穫

赤ワイン用のぶどうを収穫します。

破砕

収穫したぶどうを破砕します。破砕を行うことで果汁が流出します。

醸し

アルコール発酵前後に、果汁に果皮と種子を一緒に浸漬します。

浸漬していると、果皮・果肉・種子が上部に浮かんできて果帽ができるんです。

この状態が長時間続くと、色素や風味、タンニンはほとんど抽出されません。

そのため、果皮が果汁と接触した状態を保つためにポピングオーバーやパンチングダウンを行います。これによって色やタンニンをより抽出します。

アルコール発酵

発酵日数は約10日ほど。

発酵温度は白ワインよりも高い20-32℃です。

マロラクティック発酵(MLF)

液体部分(フリーランワイン)を分離します。

マロラクティック発酵とは、ワインに含まれるリンゴ酸を乳酸菌の働きにより乳酸に変えること。りんご酸は涼しい産地や環境ほどより多く含まれます。

マロラクティック発酵を行うことでより、酸味がまろやかなワインに仕上がります。赤ワインの場合はほとんどの生産者が行います。

熟成

ワインをオーク樽やステンレスタンクで熟成します。

ブルゴーニュのワイナリー見学にて

樽熟成の場合は新樽や古樽、大きさが風味に影響を与えます。

例えば新樽の場合は、バニラやココナッツ、アーモンドのような風味がワインに付きやすいですが、古樽の場合はほとんど樽の香りはつきません。

また、樽が小さいほど樽熟成の風味が強く表れます。

新樽と古樽でそれぞれ熟成させたワインをブレンドしたり、古樽のみでワインを作ったり。

ブレンドやスタイルは生産者がどのようなワインの味わいを作りたいによって異なります。

ワインと熟成の長さの関係

熟成の長さもワインの味わいに大きな影響を与えます。

特に樽熟成の場合は、熟成期間が長いことによりゆっくりと酸素とワインが触れ合い、皮、きのこ、トリュフ、トーストの香りが出てきます。

また、赤ワインの場合はフレッシュなアロマからドライフルーツのアロマが主体になります。

清澄化と瓶詰め

熟成後、不純物を取り除き出荷されます。

フランス産とアメリカ産のオーク樽の違い

白ワインや赤ワインを飲んでいると、トーストやナッツ、またはココナッツやバニラのような風味を感じたことはありませんか?

これらの風味は実はオーク樽での発酵または熟成から来ています。

フランス産またはヨーロッパ産のオークにはトーストやナッツの風味が、アメリカ産のオークではココナッツやバニラの香りがワインに加わります。

一般的に新樽はこれらの風味が強くワインに移り、古い樽になるにつれてその風味がワインに与える影響は少なくなります。

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オレンジワインの作り方

オレンジワインは白ぶどうを使って、赤ワインの工程で作ります

オレンジワインってオレンジから作るんじゃないの?と思うかもしれませんが、赤ワインのように果汁と果皮を接触させる時間を設けることによって、果汁にオレンジ色が付くんです。

これをスキンコンタクトと言います。

また、クヴェグリといって、窯で焼き上げられた素焼きの壺/甕でワインを発酵・醸造するのもオレンジワインの特徴です。

もともとはジョージアで主に使われていましたが、現在はジョージア以外の一部の生産者の間でも使われるなど、一定の人気があります

ピノ

クヴェヴリを用いたワイン造りは、2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録されているんですよ!

詳しくはこちらの記事で解説しているので合わせて読んでみてくださいね。

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ロゼワインの作り方

ロゼワインは、主に以下の3つの方法で行われます。

それぞれの方法によって、ロゼワインの色合いや風味が異なります。

セニエ法

最も一般的な方法で、基本的に赤ワイン用の黒ぶどうを使います。

セニエ法は、赤ワインを製造する過程で行われる方法で、赤ワインの初期発酵段階で一部の果汁を取り出します(これを「セニエ」と呼びます)。

この取り出された果汁は、ロゼワインとして別途発酵させられます。

この方法で作られたロゼは、果皮から色素、タンニン、香り成分などが果汁に移行するため、通常より濃い色合いと味わいを持ちます。

直接圧搾法

赤ワインの原料である黒ブドウを破砕・圧搾し、果汁のみを発酵させる方法です。

上品で淡い色の付いたロゼを作りたい時に用いられることが多い方法です。

白ワイン用ブドウを黒ブドウに変えただけの製造法と思っていただくと分かりやすいかと思います。

ブレンド法

この方法では、白ワインに少量の赤ワインを加えて色を付けます。

ヨーロッパでは白ワインと赤ワインを混ぜてロゼワインを造ることは、EUの規定で禁止されています。

唯一例外として、フランスのシャンパーニュ地方で造られるシャンパンのみ、ブレンド法が認められています。

また、低価格のフルーティーな一部のニューワールドロゼこの方法で作られます。

スパークリングワインの作り方

スパークリングワインの作り方には実はいくつかの種類がありますが、ここでは最も伝統的で有名な「シャンパーニュ方式」(瓶内二次発酵)について説明します。

ベースワインの製造

まずはじめにベースワインを作ります。これは通常の白ワインやロゼワインの製造プロセスに似ていて、ぶどうを収穫して圧搾・果汁を得た後、発酵させます。

アッサンブラージュ

異なるぶどう品種や畑、収穫年から得られた複数の基本ワインをブレンドして、望ましい味わいと香りの組み合わせを作り出します。

瓶内二次発酵

ブレンドしたワインに糖分と酵母を加え、瓶詰めします。瓶の中で二次発酵が行われ、この過程で炭酸ガスが生じます。炭酸ガスは瓶内に閉じ込められ、ワインに泡をもたらします。

熟成

瓶内での熟成期間中、ワインは酵母とともに熟成されます。この過程で、ワインは独特の風味を得ます。熟成期間は数ヶ月から数年に及ぶことがあります。

ルミュアージュとデゴルジュマン

熟成後、瓶を徐々に傾けて酵母の沈殿物を瓶の口に集める「ルミュアージュ」という作業を行います。

その後、「デゴルジュマン」と呼ばれるプロセスで、瓶の口を凍らせて酵母の塊を取り除きます。

ドサージュ

酵母を取り除いた後、ワインに少量の糖液(リキュール・デクスペディション)を加えて味を調整します。

瓶詰め

再び瓶詰めしてコルクで封をします。

肝心なのは、アルコール発酵で発生する炭酸ガス(二酸化炭素)を、ワインの中に閉じ込めることです。

スティルワインの製造では、発酵中に出る二酸化炭素はワイナリーの空気中に「逃げて」いってしまいますが、スパークリングワインの生産ではその一部がワインの中に残るようにします。

シャンパーニュ方式は工程も多く、時間もかかることから価格帯の高いスパークリングワインを作るときに用いられることが多い作り方です。

シャンパーニュ方式以外にはタンク方式、トランスファー方式、リュラル方式、炭酸ガス注入方式などがあり、ワインの価格やスタイルによってベストな方式で作られます。

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ぶどう樹の生育や剪定などについて学びたい方はブドウ樹の生理と剪定方法が、味わいを左右する土について詳しく知りたい方は土とワインが参考になります。

ワインの作り方まとめ

本記事では、ワインの作り方を「ぶどうの生育」「ワイン醸造」からそれぞれ解説しました。

WSETのページでは、ワインの作り方以外にもワインの味わいに与える要素や酒精強化ワイン、甘口ワインについても紹介しているので、合わせて読んでみてくださいね!

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この記事を書いた人

WSET Level2,3取得|WSET Diploma勉強中|一児の母、夫婦で1日ボトル2本は空けるほどワイン好き|年間300日以上飲んでます|毎日の食卓と時間がより楽しく豊かになるようなワインと、WSETやソムリエ試験で使えるネタを紹介しています。

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