マロラクティック発酵とは?白ワインや赤ワインに与える効果を解説

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ワインにおいて、酸や糖度といった味わいのバランスは非常に重要。

それだけでなく、美味しいと感じる要素の一つにまろやかさがあります。

白ワインであればマルッとしていてコクのある味わいだし、赤ワインであれば滑らかな舌触りが特徴として挙げられます。

というわけで、本記事ではマロラクティック発酵がワインにもたらす効果について解説。

ポイントは、マロラクティック発酵はほとんどの赤ワインに行われ、白ワインは酸の低いワイン(特にシャルドネ)に行われる点です。

試験でも頻出しやすい内容でもあるので、知っておいて損はありません!

目次

マロラクティック発酵(MLF)とは

マロラクティック発酵(MLFともいいます)とは、乳酸菌(lactic acid bacteria)がリンゴ酸(malic acid)を乳酸(lactic acid)と二酸化炭素(carbon dioxide)に変える働きのことを言います。

マロラクティック発酵は乳酸菌によって行われ、この乳酸菌はほとんどの老舗ワイナリーには自然に存在します。

マロラクティック発酵を望む新しいワイナリーでは、培養して慎重に導入しなければならない場合もあります。

このプロセスはアルコール発酵とは無関係で、主発酵に先行することはほとんどなく、そのため二次発酵と呼ばれることもあります。

とはいえ、アルコール発酵の終わりまでにマロラクティック発酵が完了することも珍しくありません。

マロラクティック発酵の効果

マロラクティック発酵を行うことでワインに与える効果(影響)は4つあります。

  1. 酸度を下げる
  2. 赤ワインの色素を落とす
  3. ワインの安定性の向上
  4. 味わいの向上

1.酸度(acidity)を下げる

特に冷涼な気候で生産されるワインに望ましいとされています。

例えば、涼しい気候で作られるぶどうは酸が高い状態で収穫される場合があるため、マロラクティック発酵を行うことでよりまろやかさを与えることができます。

一方で、品種やぶどうの状況(どのようなスタイルのワインにしたいのか)によっては好ましくならない場合も。

例えば白ワインでは、シャルドネが一般的にマロラクティック・コンバージョンが行われますが、リースリングやシュナン・ブランは酸が高いにもかかわらず、ほとんどの生産者はマロラクティック・コンバージョンを意図的に避けています。

その理由は、そのぶどう品種の特徴であるフレッシュさや酸の高さを残したいケースや、マロラクティック発酵によって生まれるバターのような香りによって、ぶどう本来の香りが損なわれる可能性を避けるためです。

マロラクティック・コンバージョンの総酸度を下げる効果は、マロラクティック・コンバージョンを行う前にリンゴ酸が最も高かったワイン、特に冷涼な地域のワインに顕著に現れることが多い傾向があります。

2.赤ワインの色素を落とす

これは非常に淡いタイプの赤ワイン以外では問題になることはありません。

3.微生物の安定性の向上

アルコール発酵中や発酵後にマロラクティック発酵を行うと、(ワインのボトリング後など、)のちに望ましくないタイミングでマロラクティック発酵するのを防ぎます。

これにより安定した状態でワインを熟成することができます。

4.味わいが向上する

マロラクティック発酵を行うことによって、酸がまろやかさになり、バランスの取れた味わいになります。

また、赤ワインと白ワインの両方に風味と複雑さを加え、瓶内マロラクティック発酵の危険性をワインに与えないようにすることもできる。

マロラクティック発酵(MLF)が促進・抑制されるタイミング

ほとんどのバクテリアと同様、乳酸菌は非常に弱酸性の溶液と20℃以上の温度で最もよく増殖します。

マロラクティック発酵は温度だけでなく、ワインのphにも強く影響されます。

例えば、phが3.1未満の場合、発酵は非常に難しいものの、シャンパーニュやブルゴーニュ地方では一般的にこのような条件下で行われています。

乳酸菌は、中程度の濃度の二酸化硫黄や高濃度のエタノールにも耐性がありません。

そのため、アルコール発酵終了後すぐに乳酸菌をワインに添加することで、マロラクティック発酵を促進することができます。

もしくは、アルコール発酵の開始時、または開始後すぐにマストに添加することもできます。

この時点では、発酵中のワインは温かく、アルコール度数は低く、発酵前に添加した二酸化硫黄はすでに揮発し、瀕死の酵母細胞(澱)が必要な微量栄養素を供給するなど、乳酸菌にとって理想的な条件が整っています。

共培養より一般的になってきているものの、発酵が非常に早く高温で行われるため、ワインの品質に悪影響を及ぼすと考える醸造家もいます。

アルコール発酵中(または赤ワインの発酵後マセラシオン中)にマロラクティック発酵が始まらなかった場合、新酒は樽またはステンレス・タンクに移され、そこでマロラクティック発酵が行われます。

前のヴィンテージでマロラクティック発酵が行われた樽は、マロラクティック発酵の開始を促すかもしれないが、腐敗を促進しないよう、以前の容器に何が入っていたかを知ることが非常に重要です。

促進される条件〜ワインの温度を上げる〜

・温度が18-22°
・中程度のpH(3.3-3.5)
・低いSO2

抑制される条件〜ワインを冷やす〜

・温度が15°未満
・低いpH
・中程度のレベルのSO2
・マロラクティック発酵を停止したい場合は乳酸菌を濾過する方法もある

マロラクティック発酵(MLF)が白ワインと赤ワインに与える影響

ほとんどの赤ワインは、アルコール発酵後にマロラクティック発酵が行われています。

その理由は、マロラクティック発酵を行うことにより、酸がまろやかになるのと同時にタンニンも滑らかになるからです。

一方の白ワインの場合は、品種やワインのスタイルによって大きく異なります。

例えばマロラクティック発酵を行うのが良いと考えられるのは、酸味の高いぶどうやシャルドネなど。

マロラクティック発酵を行うことで酸味が柔らかくなり、まろやかな味わいのワインに仕上がります。

一方でソーヴィニヨン・ブランやリースリングなど、アロマティックでフレッシュな酸味を特徴とするぶどう品種には、酸が高すぎて減酸が必要な場合にマロラクティック発酵が行われます。

ただし、マロラクティック発酵は発酵由来のバターやクリームのような香りが加わることから、アロマティック品種にはあまり使われないのが現状です。

マロラクティック発酵(MLF)

マロラクティック発酵は、ワインを作る上で欠かせない重要な要素の一つです。

試験でも出やすいポイントなので、覚えておくと役に立ちます!

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この記事を書いた人

WSET Level2,3取得|WSET Diploma勉強中|一児の母、夫婦で1日ボトル2本は空けるほどワイン好き|年間300日以上飲んでます|毎日の食卓と時間がより楽しく豊かになるようなワインと、WSETやソムリエ試験で使えるネタを紹介しています。

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