極上の甘口ワイン、「貴腐ワイン」とは?

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世界には遅積みのぶどうや凍らせたぶどうを使って造るなど、様々なスタイルで造られる甘口ワイン等がありますが、その中でも特に高価で高い人気を誇るのが「貴腐ワイン」です。黄金色の外観がハーフボトルにきれいに陳列されている風景を一度は見られたことがあるのではないでしょうか。
貴腐香と呼ばれる独特な芳香に凝縮された甘さを持つ、世界最高峰の甘口ワインとして知られる貴腐ワインを紹介します。

目次

貴腐ワインとは

貴腐ワインは、白ワイン用品種のブドウから造られる甘口ワインです。セミヨンをはじめとする白ワイン用のぶどう品種において、ある条件を満たすと果皮がボトリティス・ シネレアという菌に感染します。これにより糖度が高まり、芳香を帯びるのです。

貴腐ぶどうが造られる気候条件とは

前述したように、貴腐ワインは非常に限られた環境下でしかボトリティス・シネレア菌がぶどうに付着しません。大きなポイントは大きく三つ。
・ぶどうが完全に熟していること
・朝のうちは湿気があり、霧が立ち込めていて、午後は腫れて乾燥していること→これによりぶどうに腐敗が起こり、菌がミクロサイズの菌糸でぶどうの可否を破って可否に穴が空く。
・午後い晴れて暖かい状態であること→腐敗の発達が遅れてぶどうから水分が蒸発する。これにより、ぶどうの糖度が凝縮する

そのため、甘口ワインが造られる地域も非常に限られるのです。

世界三大貴腐ワインとは

その中でも特に極上の貴腐ワインが造られるとして有名なのが、『世界三大貴腐ワイン』を造る下記の地域です。

世界三大貴腐ワイン:ソーテルヌ

最も有名な貴腐ワインは、ソーテルヌです。ソーテルヌは5大シャトーで有名なフランスボルドー地方にあります。
ボルドー南東のガロンヌ川の左岸に位置し、その支流のシロン川を挟んだ場所にソーテルヌ地方が広がっています。
シロン川とガロンヌ川は水温が違うため、秋になるとそれぞれの川が合流することで霧が発生するのです。さらに、ソーテルヌは午後にはこの霧が晴れて乾燥するため貴腐化が進みやすく、質の高い貴腐ブドウが収穫できる産地として有名です。実際に、ソーテルヌを代表する「シャトー・ディケム」は、1855年に制定されたソーテルヌ&バルサックの格付けにて、唯一の第1級に選ばれており、お値段も1本5万円以上と非常に高価です。ただし、一口のむとその味わいに感動し、溶けてしまうほど。

世界三大貴腐ワイン:トロッケンベーレンアウスレーゼ

「トロッケンベーレンアウスレーゼ」は、ドイツの最高級貴腐ワインです。ドイツでは、収穫時のブドウ果汁の糖度に準じてプレディカーツヴァイン」という6段階の格付けに分けられます。その中で貴腐ぶどうによって造られた最高級の極甘口ワインがトロッケンベーレンアウスレーゼです。
トロッケンベーレンアウスレーゼの中でも、世界的に知られているのはモーゼル地方のエゴン・ミュラーでしょう。エゴン・ミュラーは、世界で最も高価な白ワインのリースリング・トロッケンベーレンアウスレーゼ(TBA)を造る造り手です。TBAはドイツのオークションで高値落札され、世界的に有名なロマネ・コンティやルロワのシャンポール・ミュジニーに次ぐ1万数千ドルで取引されています。洗練、繊細、上品といった言葉がぴったりなリースリングを生み出しています。

世界三大貴腐ワイン:トカイ・アスー

中欧ヨーロッパハンガリーを代表するのが、このトカイ・アスーです。
トカイ地方で造られる甘口ワインの品質区分に「アスー」と呼ばれるものがあります。その中で最上格の貴腐ブドウ100%で造られた貴腐ワインがアスーエッセンシアです。アスーには最低残糖分や最低熟成年数によって「アスー5プットニョシュ」、「アスー6プットニョシュ」などがあり、貴腐ブドウ100%ではない貴腐ワインもたくさん存在します。ちなみにアスーエッセンシアはハンガリーでも簡単に手に入れることが難しいワインだそうです。日本でもあまり見かけないですよね、見つけたらチャンスです!

貴腐ワインはなぜ高級なの?

前述のシャトディケムのように、貴腐ワインは他の甘口ワインに比べて高価な甘口ワインとして知られています。まず、前述したように、限られた条件下の中でしか貴腐菌がぶどうに付着しません。毎年同じような気候状況になるわけではないので、造れる年と造れない年が出てきます。また、収穫時期には毎日畑に行って、ぶどうの状況を見つつ良いぶどうだけを選果して収穫する必要があります。そのため機械収穫は難しく、手摘みによる作業になります。さらに、貴腐ワインは水分が蒸発したぶどうからワインを造るので、通常のワインよりも生産量は断然少なくなります。その他デュケムやエゴンミュラーなど市場の需要も値段が上がる要因の一つになります。

貴腐ワインはやはり糖度が高いので、通常のワインよりも多少長持ちします(冷蔵庫で2週間程度はいけるかと)ぜひ一度飲んでみてはいかがでしょうか。
また、甘口ワインはWSETでも出題される可能性の高い分野ですので、受験される方は要点をまとめておくと良いかと思います!

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この記事を書いた人

WSET Level2,3取得|WSET Diploma勉強中|一児の母、夫婦で1日ボトル2本は空けるほどワイン好き|年間300日以上飲んでます|毎日の食卓と時間がより楽しく豊かになるようなワインと、WSETやソムリエ試験で使えるネタを紹介しています。

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