ポルトガル生まれの甘口ワイン、ポートワイン

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アルコール度数の高い甘口ワインの代表格といえば・・・そう、ポルトガル生まれの「ポートワイン」です。
別名「ポルトガルの宝石」とも言われ、凝縮された甘さと深いコクで人々を魅了する三大酒精強化ワインの一つです。

目次

ポートワインの生産地、ドウロ地方ってどんなところ?

ドウロ地方は、ポルトガルの北東部に位置するポートワインの生産地。総面積は250,000ヘクタールで、そのうちぶどうの栽培面積は約43,000ヘクタール。

ドウロ地方は温暖な大陸性気候で、夏には気温が40°Cに達するほど暑く、冬場も氷点下になることはまずありません。 大西洋からの距離と、地域の西にあるマラオ山からの保護が相まって、ブドウ畑のある地域は海岸沿いの都市ポルトよりもずっと暖かく乾燥しています。

ぶどう畑のエリアはドウロ川の流れに沿っており、ドウロ川の下流から上流に向かって順に、バイショ・コルゴ、シマ・コルゴ、ドウロ・スーペリオールと3つのサブ・リージョンに分かれています。

バイショ・コルゴ

最も西に位置するバイショ・コルゴはぶどうの栽培面積の約3割を占め、3つの地区の中でも最も雨が降る地域(年間降水量が900mm)です。冷涼な気候のため味わいは軽く、安いルビーポートやタウニーポートの原料となるぶどうが多く生産されています。

シマ・コルゴ

シマ・コルゴは年間降水量が約700mm、温暖で乾燥しており、古くから名声のあるエリアです。有名な生産者のほとんどがこの地域にぶどう畑を持っています。エイジド・トーニー・ポートやヴィンテージ・ポートの生産に使用されています。

ドウロ・スーペリオール

海岸から最も遠いドウロ・スーペリオールは、昼夜の気温差が激しく、3つのエリアの中で最も暑くて乾燥しています。そのため、年間降水量も450mmと少なく、干ばつが頻繁に問題となります。ドウロ・スーペリオールは交通の便が悪かったことから栽培地として大きな発展を見せなかったエリアですが、近年になり開墾されているエリアです。険しい斜面が多いものの、機械化が可能な平坦な土地もあるため、栽培面積も年々増加しています。

ポートの栽培環境

ドウロ・ヴァレーは栽培地の約半分が急な斜面(多くは30%以上の勾配)の段々畑にあり、土壌は片岩質や花崗岩からなります。下層の岩盤は、適度な水はけと通気性を持つ片岩質です。古代の地殻変動により、この地域の片岩(シスト)は通常の水平方向ではなく、垂直方向に層が分かれています。そのため、ブドウ樹の根は水を求めて岩盤の奥深くまで入り込むことができるのです。 灌漑は基本的にNGですが、例外的な状況下でのみ許可されています。 

さて、前述したように、ポートワイン用のぶどうは、急な斜面で造られます。ぶどうの樹を栽培するために、古くから色々試行錯誤されて畑が作られてきました。現在は大きく3つの畑スタイルでぶどうが栽培されています。

 

ソカルコス(Socalcos)

18世紀から19世紀にかけて最も伝統的な段々畑の手法とされていたのがソカルコスです。ソカルコスは、等高線にそって斜面に乾いた石の壁で支えられたレンガや石の壁を作り、ぶどうの樹を植えていきます(通常はソカルコスごとに10~20列のブドウの木が植樹)。これにより、1ヘクタールあたり約6,000本のブドウの木を植えることができます。このレイアウトは、一般的にはトラックなどの機械化に適しておらず、収穫や雑草の刈り取りなど全て手作業で行わなないといけません。また、2000年にはユネスコによってソカルコスの畑が保護された関係で、レイアウトを変えることも壊すこともできません。このような理由から、近年はこの方法で段々畑が造られることはほとんどありません。

パタマレス(Patamares)

畑作業を機械化で行うため、1970年以降に斜面から切り出した土を使って土手を使った幅広の段々畑が導入されました。これがパタマレスです。これによって畑に小型のトラクターが入れるようになりました。一方で、1ヘクタールあたりに植えられるブドウの木の本数は約3,000~3,500本とソカルコスの約半分。また土を使って土手を作るため、本質的に不安定で、雨が多い時期には崩壊しやすくなります。また、植密度が低く、土手の斜面に雑草が生えないようにする必要があるため、コストも時間もかかります。

ヴィーニャ・アオ・アルト(Vinha ao alto)

ヴィーニャ・アオ・アルトでは、畑開発における近年の新しい方法で、ブドウの木を斜面に垂直に並べて植えていきます。植え付けや維持費が最も少なく、1ヘクタールあたり約5,000本と比較的高い植密度を保つことができるので、土地を効率的に利用することができます。トラクターの性能と土壌侵食を最小限に抑えるという観点から、一般的にヴィンハ・アオ・アルトを植える際の最大勾配は30°とされています。傾斜が40%以上になると機械化ができなくなるため、その場合にはパタマレスが使われることが多くなります。また、ソカルコスやパタマレスでは多かれ少なかれランダムにぶどう品種を混合して栽培していますが、ヴィーニャ・アオ・アルトでは年ごとの生産量を均等にするために意図的に単一品種のブロックでぶどうが栽培されています。

オット
ここでいう機械化とは、収穫時にトラクターで機械収穫するということではなく、栽培や農薬散布、刈り込みなどもっと前段階の醸造工程での作業を機械で行うということなんだ

より詳しく学びたい人におすすめなのがこちら↓

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この記事を書いた人

WSET Level2,3取得|WSET Diploma勉強中|一児の母、夫婦で1日ボトル2本は空けるほどワイン好き|年間300日以上飲んでます|毎日の食卓と時間がより楽しく豊かになるようなワインと、WSETやソムリエ試験で使えるネタを紹介しています。

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