酒精強化ワイン

【ソムリエ/WSET対策】シェリー酒をちょっと詳しく解説〜品種と造り方〜

2021年8月22日

造り方がとにかく複雑で、種類も多く一度じゃなかなか覚えられないという声も多いシェリー酒。

そんなシェリー酒を少し噛み砕いて、解説します!今回は品種と造り方編です。

シェリー酒とは

シェリー酒は、スペインのアンダルシア地方で造られる酒精強化ワインです。ヘレス・デ・ラ・フロンテラという街周辺で造られています。辛口から甘口までのスタイルがあり、外観も琥珀色や深みのある褐色のものまで多様です。シェリー酒のほとんどは、パルミノという辛口で酸味の低い白ぶどうから造られます。また、シェリー酒の大きな特徴といえば、ソレラ・システムという木樽での熟成です。ワインの品質を一定に保つために、熟成中に若いワインと古いワインをブレンドする方法が行われています。

シェリー生産地域の地図

シェリー生産地域の地図(https://www.sherry.wine/jp/origins/sherry-wine-region)

シェリー酒に使われるぶどう

シェリー酒には主に3つのぶどうが使われます。順番に見ていきましょう!

パルミノ

パロミノはシェリー酒の主要品種で、辛口から甘口までのスタイルに使われます。生産量は約99%とほとんどのシェリー酒がパルミノ種から造られます。

中程度から晩熟タイプの品種なので、乾燥した日当たりの良い気候に適しています。大量の収穫が可能ですが、成熟期に入るとすぐに酸味がなくなってしまうのが特徴です。

また、ノンアロマティックな品種なので、シェリー酒に独自のアロマをあまり加えない傾向があります。

モスカテル

モスカテルは、海岸沿いの町チピオーナにちなんで、別名モスカテル・デ・チピオーナと呼ばれています。

パルミノと同様晩熟で、暑さと乾燥によく適応し、砂質のアレナ土壌で栽培されています。モスカテルは主に甘口のスタイルに使われることが多く、生産量は全体の1%以下と非常に少ないです。パルミノとは対照的にアロマティックなぶどう品種です。

ペドロ・ヒメネス

ペドロ・ヒメネスもモスカテル同様、甘口ワインに使われます。小粒で黒に近い褐色をしており、ぶどうの糖度が高いのが特徴です。

伝統的に、天日で乾燥させてその糖度をさらに濃縮させます。甘口ワインのアルコール度数が高いバージョンですね。ペドロ・ヒメネスはPX(ペドロ・ヒメネス)と呼ばれる甘口シェリー酒に使われ、甘味添加用としても使用されます。

シェリー酒の造り方〜辛口編〜

では早速造り方をみていきましょう。

収穫から発酵まで

まず、8月下旬から9月上旬にかけてぶどうを収穫します。

その後収穫した葡萄を圧搾し、発酵させます。ここまでは通常の白ワインと同じ醸造工程です。

発酵後、アルコール度数が11%から12%くらいの果汁になったら、11月以降までこの状態でワインの澱を沈ませ、安定させます。マロラクティック発酵については、一般的に酸味がすでに低く、まろやかな風味もシェリー酒に求めれていないことから実施されません。最後糖分が発酵されるのに約2週間ほどかかります。その後この果汁を樽に詰めていくわけですが、ここでの大きなポイントは、樽に詰める際にわざと空気の層を残す(5/6程度)点です。空気の層を残し条件が揃うと、樽内では白い酵母の膜(フロール)が生じます。フロールは、バリアとなって空気を遮断し、酸化反応を防いでくれる役目を果たしてくれます。

はてな

通常アルコール発酵が終了すると、発酵酵母は役目を終えますが、シェリー酒の場合は樽貯蔵中にサッカロミセス・バヤヌス(醸造用に用いられる酵母の一つ)という産膜酵母が繁殖することで、フロールを形成します。ちなみに、フロールはアルコール度数を高くすると死滅してしまいますが、アルコール度数が15〜16°くらいであれば維持されます。そのため、「フィノ」はこの酵母の膜により空気と遮断されて熟成されます。また、フロールの下での熟成を「生物学的熟成」と呼んでいます。

ソブレタブラ

その後、これらのベースワインは試飲・分析され、フィノとオロロソの大きく2つに分けていきます(第一次格付け)。外観が淡く軽いタッチのワインは「フィノ」、外観が濃くボディもしっかりしているものは「オロロソ」に分類します。分類後、フィノは15%、オロロソは17%までアルコール度数を上げ、ソブレタブラという熟成システムに入るのを待つ状態に保ちます。これらのワインはタンクで保管か木樽に移され、数ヶ月後に第一次格付けで生物学的熟成と判断されたワインについては第二次格付けで再度試飲・分析されます。

熟成

シェリー酒の熟成は古い木樽で行われます。最も多く使われているのが600Lの木樽なので、ブルゴーニュのピエス(228 L)とボルドーのバリク(225 L)と比べると大きめです。アメリカンオークが主に使われていますが、非常に古い木樽を使うため、アメリカンオーク特有の風味は付きません。

はてな

ここには記載していないですが、時々テキストや本を読んでいると熟成の部分で「ボテガ」という言葉が出てきます。ボテがとは、ワインの醸造・熟成を行う建物を指し、時折ワイン生産をおこなっている企業を指して使われることもあります。また、多くのボテガは空調システムを必要とせずに最適な温度を熟成期間中に作り出せるよう、意図的に設計されています。
ソレラシステム

シェリー酒を勉強したことのある人なら一度は聞いたことのあるソレラシステム、やっと出てきました!シェリー独自のブレンド方法です。熟成している樽を何段にも渡り積み上げ、樽内でブレンドしていきます。なぜこのような方法を行うのか、それは「毎年一貫した品質を維持するため」(そのためシェリーは基本的にNV)

さて、ソレラシステムでは、クリアデラと呼ばれる樽のセクションによってワインがまとめられています。クリアデラには同じ年代のワインが入っており、それ以外ののクリアデラには他の年代のワインが入っています。何段にも積み重なる樽の一番下には一番古い年代のワインが入っており、これをソレラと呼びます。ワインは必ずソレラから取り出します。また、取り出す容量は40%を超えてはいけません。

生物学的熟成と酸化熟成の違い

生物学的熟成とは、フロールのしたでワインを熟成させること、一方の酸化熟成は、木樽の中でワインが保存され、自然環境によって物理化学的にゆっくりと変化していく熟成を指します。生物学的熟成では、ワインは15.5%以下に保つ必要があります。また、フロールはSO2を添加すると阻害されてしまう可能性があるため、添加をしないことは非常に重要です。

一方の酸化熟成については、熟成を経ることに外観はレモン色からブラウンへと徐々に変化していきます(酸化によって色が変わる)。また、ボテガの環境ではエタノールよりも早い速度で水分が樽から失われていきます。そのため、アルコール度数がわずかに上昇します。

シェリー酒の造り方〜ごく甘口編〜

続いて甘口シェリー酒の造り方をみていきましょう!

使われる品種はモスカテルとペドロ・ヒメネスです。どちらもパルミノよりも糖度は高いですが、収穫後にさらに1-2週間天下ぼしにして、ぶどうの中の水分を蒸発させていきます。そうすると、ぶどうの糖度がより上がるんですね。それから、圧搾、発酵、酒精強化を行っていきます。その後の熟成については辛口シェリー酒と同様です。

 


 

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