こんにちは、ピノです。
本記事ではポルトガルを代表する酒精強化ワイン「マデラ酒(マデイラワイン)」をご紹介します。
実は、私自身マデラ酒(マデイラ)はWSETの試験勉強中に初めて知ったワインでもあります。
通常のワインよりも少しアルコール度数は高いものの、酸味と甘みのバランスが抜群!
一口飲んではまってしまったほど。
基本知識と味わいの特徴を知って、ご自身の好きなスタイルのマデラ酒を見つけてくださいね!
マデイラワイン(マデラ酒)とは
マデイラワインは、ポルトガル領のマデイラ島で造られる酒精強化ワイン。
モロッコの海岸から約600km離れています。
シェリーやポートワインと並ぶ世界三大酒精強化ワインの一つと言われており、WSET Diplomaの酒精強化ワインの分野でも必ず出題される分野です。
マデイラ島の気候
一般的にマデイラは、夏は暖かく(平均約20-22°C )冬は穏やか(平均約16-17°C )な気候です。
山が多い島のため、様々なミクロクリマが存在し、標高が高くなるにつれて気温が低くなります。
高い山だと標高1,800mに達することも。
そのため、北西から吹く湿った風に含まれる湿った空気が冷やされ、凝縮されて雨雲となります。
また、島の北部と中央部は南部に比べてかなり涼しく、雨が多く降ります。
雨の大部分は秋と冬に降ります。
マデイラワイン(マデラ酒)のぶどう品種
マデイラワインは高貴な白ぶどうとされる「セルシアル」「ベルデーリョ」「ボアル」「マルヴァジア」の他にテランテスと黒ぶどうのティンタ・ネグラがあります。
ティンタ・ネグラ
マデイラ島で最も栽培されている黒ぶどう品種です。
生産者がティンタ・ネグラという品種をワインラベルに記載できるようになったのは2015年以降とつい最近のこと。
ですが、ティンタ・ネグラの多くは、ラベルに品種ではなく甘さのレベルを表示するワインを造るために使用されています。
セルシアル
酸味が強く、マデイラワインの最も辛口のスタイルに使われます。
遅摘みで、特に冷涼な場所では、潜在的なアルコールの最低レベルをかろうじて上回る程度で、最も遅く収穫される品種です。
ヴェルデーリョ
酸味は強いものの、セルシアルほど強くはありません。
ボアル
一般的に半甘口のワインに使われます。
マルヴァジア
一般的に甘口のワインに使われます。
テランテス
テラノテスの栽培は非常に限定的で、高い酸味と辛口の味わいが特徴的です。
マデイラワイン(マデラ酒)の作り方
ワイナリーに到着したブドウは、重量、ぶどうの状態、潜在アルコール度数をIVBAMの代表者によってチェックされ、その後除梗・破砕されます。
ティンタ・ネグラのワインは、特に中甘口や甘口のスタイルでは、皮ごと発酵させるケースが多いです。
また、一部の生産者は、白ブドウから造られるワインにスキン・コンタクトを導入しています。
発酵は通常、ステンレス製の容器で、常温の酵母を用いて行われます。
酒精強化のタイミングは、生産されるワインのスタイルによって異なりますが、甘口ワインの場合より多くの残糖を保持するために、発酵の早い段階で酒精強化が行われます。
酒精強化用アルコールは、96%のアルコール度数(ポートワインのアルコール度数は77%)のぶどう蒸溜酒でなければなりません。
酒精強化用アルコールは生産者が自由に購入できますが、IVBAMによる品質チェックが義務付けられています。
マデイラの熟成:エストファ
マデイラワインを語る上で欠かせないのが酸化熟成のプロセスです。
現代のマデイラの熟成工程は、17世紀から18世紀初頭にかけてワインが出荷される際にさらされた、高温で酸化的な条件を再現しており、2つの方法で行われています。
一つ目がエストファです。
加熱コイルまたはウォーター・ジャケットを使用して45~50℃に加熱されたステンレスタンクで、最低3カ月間タンク内でワインを熟成します。
タンクは密閉するものの、通常は上に少し隙間を作ることで多少の酸化を促します。
ワインはその後冷却され、濾過された後、6~12ヶ月間寝かされます。
エストファは3~5年熟成の比較的早飲みワインに使われる傾向があります。
マデイラの熟成:カンテイロ
エストファが比較的安いワインで使われることが多いのに対し、カンテイロは高品質でより高いワイン(単一収穫年が表示されたヴィンテージワインや10年、15年といった熟成期間が表記されたマデイラ)に使われることの多い熟成プロセスです。
ワインは、ロフトや倉庫といった暖かい環境の中で、太陽によって古いオークの容器で熟成されます。
樽の大きさは通常400~700L、こちらも酸化の進行を助けるためにヘッドスペースに少し空気を残す。
熟成時の温度は通常25~40℃とエストファよりも少し低いので、ゆっくり熟成が進みます。
マデイラワイン(マデラ酒)を美味しく味わう(テイスティングする)ポイント
マデイラワインで押さえるべき品種は、セイシベル、ベルデーリョ、ボアル、マルヴァジアの白4新種。
セイシベルから順に、ドライ・ミディアムドライ・ミディアムスイート・スイートと味わいのスタイルが異なります。
そしてマデイラワインの最大の特徴は酸の高さ。
マデイラ島は年間平均気温がおおよそ20度前後と温暖ではありますが、実は島の北と南では気候が全く異なります。
北部は雨が多く冷涼なのに対して、南部は暖かく温暖。
北部は標高の高い場所も多く、また大西洋からの冷たい風が畑に吹きつくこともあり、山頂では雪が降ることもあるのです。
そのため、ドライからスイートまで幅広い味わいのスタイルがありつつも、基本となるベースの酸度はどれも高いのです。
実際に酸味の違いは、ボアルやマルヴァジアとホワイトポートを比較して飲むと、いかにホワイトポートの酸味が低いのかが分かります。
セルシアル
超辛口または辛口。
柑橘類の皮やナッツの香りが特徴です。
ヴェルデーリョ
中辛口。ヴェルデーリョはセルシアルよりも残糖が多いため、ボディがあり、口当たりもまろやか。
口に含むとほのかに甘く、砂糖漬けの果実のような甘い風味が感じられます。
ボアル
ヴェルデーリョよりもよりふくよかで甘さを感じます。
色はさらに濃く、キャラメル、チョコレート、砂糖漬けのナッツの風味があります。
マルヴァジア
コクがあり、外観は一番褐色に見えるかもしれません。
最も甘いスタイルですが、爽やかな高い酸味によって味わいのバランスが取れています。
レーズンやキャラメルのニュアンスを示すこともあります。
シェリーとポートとマデイラワインの違い
次に、シェリーとポートとマデイラワインの見分け方について。
まず、パールのレモン色をした外観はシェリーもしくはマンサリーニャと判断できます。(理由は、生物学的熟成でフロール膜の下で熟成を行うから酸化されない。よって熟成しても外観が大きく褐色にならない)
次に褐色系のフォーティファイドが出てきた場合はどうするか。
褐色系のシェリーはオロロソやアモンティリャードなど。オロロソやアモンティリャードは味わいが辛口なので、シェリーと判断することができます。
ポートとマデイラの見分け方
ポートとマデイラの違いは、前述のように酸味の高さの違い。加えてマスターがおっしゃっていたのは、熟成からくる香りの違い。
ステンレスタンクで熟成することの多いホワイトポートはあまり酸化しない(意図的に酸化させない)一方で、マデイラは意図的に高温で熟成をさせるため、このニュアンスが香りにも表れるとおっしゃってました。私には、その違いが分からず・・・
おすすめ!マデラ酒(マデイラ)ミニボトルセット
テイスティングシートを書くまで至らなかったマデイラのテイスティング。
お家でも練習できるいい方法があると、マスターがマデイラのミニボトルセットを勧めてくれました。
実はこれ、昨年末にちょうど買おうとしていたボトルなのです!購入しようと思ったタイミングが悪く、発送が少し先になりそうだったので購入するか迷ってたところでした。運よく購入できてラッキー!
今日飲んだ10年ものと全く同じビニョス・バーベイトのミニボトル4本セットと、ブランディーズの5年ものを購入。
5年と10年の熟成年数の違いは、味わいの粗さから判断できるとのこと。試験まで自宅とバーでのテイスティング練習が続きます。