ボルドーワインの世界最大の輸出国である中国。
そんな中国でもワインが造られているってご存知でしたか?
ワインの生産量は世界第6位、栽培面積は世界第2位と、非常に注目されるワイン大国なんです!
本記事ではそんな中国のワインについて解説します。
中国ワインの歴史
中国でのワイン造りはとても古く、現代の中国ワインのルーツは10世紀後半までにさかのぼります。
実業家でアジアにおける中国政府の領事であった張禧(チャン・ビシ)は、約150種類のブドウ品種を中国に輸入。
その後、彼は山東省にチャンユー・ワイナリーを設立しました。
しかし、政治的な出来事もあり、20世紀の大半はワイン産業が大きく発展することはなかった。
その後、中国のブドウ畑の拡大、少なくともワイン生産が本格的に始まったのは、人民共和国が国際的な発展に門戸を開いた1980年代に入ってからです。
政府の外資部門であるCITICがフランス政府およびレミーマルタンと提携し、淮来(北京近郊)に中仏ワイナリーを設立し、ダイナスティのラベルでワインを販売したのがその始まりです。
同時にペルノ・リカールは合弁会社を設立し、ドラゴン・シールという新しい中国ブランドを開発した。中国のワイン産業へのフランスの関与は、寧夏省でのLVMHのシャンドンのスパークリングワイン事業のように、今日に至るまで特徴として残っています。
ワイン産業は1990年代に中国政府によって奨励され、穀物ベースの蒸留酒をワインやフルーツベースの飲料に置き換えるようになったものの、ワイン生産に割かれているブドウ畑の面積は全体的に比較的小さく、ブドウ畑の総面積の10%程度と推定されています。
そのため、中国のブドウ栽培の大半は食用ブドウに費やされています。
生食用、乾燥用ともに、果物が高級な贈答品として贈られることが多い文化では、ワイン生産用に栽培されたブドウよりも、生産者にとってははるかに高い収益が得られからです。
ほとんどの中国のワイナリー、特に寧夏や他のいくつかの新しい地域のワイナリーの大半は、2010年以降に設立。
この30年ほどで大きくワインの品質も向上してきました。
中国ワインの特徴
中国ワインは、まだまだ日本に輸入される量としては少ないため認知度もあまり高くはないものの、中国国内には900余りのワイナリーがあり、多様なぶどうが造られています。
赤ワインが主流の中国ワイン
中国がボルドーワインの最大の輸出国であるように、中国人はボルドースタイルのワインを好みます。
そのため、中国で造られるワインも90%が赤ワインです。
品種もカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどの国際品種も多く造られています。
また、中国固有の品種もあり、カベルネフランの一種と考えられている蛇龍珠(シャーロンジュー)や、バラの香りを持つローズハニーという品種も造られています。
白ブドウではシャルドネ、リースリング、アイスワイン用のヴィダルも栽培されていますが、生産量としては多くありません。
中国ワインのおもな産地とブドウ品種
中国では雲南省、新疆(しんきょう)ウイグル地区、山東省、寧夏回族自治区の4つの地域で主にワインが生産されています。
■雲南省(うんなんしょう)
温暖で安定した気候で、もともとはフランス人宣教師によってブドウの栽培がはじまったと言われています。
雲南省ではローズ・ハニーというバラの香りがする珍しい品種が栽培されています。黒酢の醸造からヒントを得て甕による熟成が行われているのも特徴です。
■山東省煙台(さんとうしょうえんだい)
中国近代ワインの祖と言われる、張裕ワインの発祥地です。
〖シャトー・チャンユー・カステル〗という中国初のシャトーが有名で、創業当初から欧米に通用するワイン造りを目指し、国際品種であるカベルネソーヴィニヨン、メルロー、リースリングを中心に栽培しています。
■寧夏回族自治区(ねいかかいじちく)
1980年代にはたった1つしかなかったワイナリーが現在は200を超えるなど、急成長を遂げている地域です。
モエエシャンドンで有名なシャンパンメーカーのモエ・ヘネシー・ディアジオ社も「ドメーヌ・シャンドン」というワイナリーを創設しています。
■新疆ウイグル自治区(しんきょうういぐるじちく)
中国西部の古くからのブドウ産地です。大きな特徴は、そのワイン造りのプロセスにあります。
収穫したブドウは手で潰し、その後布で濾してから果汁と量の水と適量の砂糖を加えます。そして、元の量になるまで煮詰め、甕で保存するのです。伝統的なワイン造りを現在も行なっています。
中国ワインを手に取る機会があったらぜひ参考にしてみてください!